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脊椎骨粗鬆症
 近年の加速度的な人口の高齢化によって骨粗鬆症患者の急増が問題になっています。骨粗鬆症に由来する骨の脆弱化は骨折や耐え難い慢性腰痛を引き起こし、寝たきりの直接的原因の一つとなっています。統計による推定では、2010年にはわが国の骨粗鬆症推定患者数は総人口の10.8%に達するとされています。寝たきり老人の急増は介護に要する社会や家族の負担増となる為、医療上の問題に限らず、広く国民医療費・介護費高騰の一大原因として医療経済的にも大きな課題となりつつあります。
 一旦失ってしまった骨を回復することは非常に困難である為に骨粗鬆症治療では病気の早期発見と正確な骨折のリスク評価が重要視されます。現在、病院や検診で一般に行われている骨量の診断方法にはいろいろな種類のものがありますが、その多くは骨のミネラル成分の量をレントゲンで評価しています。しかしこの方法では比較的骨量が保たれていると診断されたのに実際には骨折を起こしてしまった例など、骨折リスクの評価が十分できない問題点が指摘されています。

診断

 実際の骨の中はスポンジのような骨梁構造をなしており、この構造の良し悪しが骨の強度に大きく影響するとされています。ちょうど阪神大震災で梁構造の不十分な鉄筋コンクリート建築物が倒壊したのに対し,梁の入ったプレハブ住宅が助かった例に似ています。しかし、これまでのレントゲンによるミネラル成分だけの評価では,このような構造の良し悪しは無視されてしまっています。骨折リスクをより正確に評価する為に当科では3次元マルチスライスCTを用いた骨梁の構造解析を行っています。これまでの骨の量だけで評価するのではなく,「骨の質」の評価を取り入れた全く新しい骨粗鬆症診断に取り組んでいます。いたずらにすべての患者さんに骨折の危険を促すだけでなく,本当に危ない状態を察知し対応することが今後の骨粗鬆症治療で大切だからです。


治療

 骨粗鬆症治療では病気の早期発見と正確な骨折リスクの評価がもっとも大切ですが,不幸にも骨折を起こしてしまった場合には,整形外科的治療が必要となります。橈骨遠位端骨折(手首),大腿骨頚部骨折(股関節),それに胸腰椎(背骨)の3箇所の好発部位がありますが,各々の部位について軽症ならば保存療法,重症ならば手術療法が一般的に選択されています。
 3つの好発部位のなかで胸腰椎(背骨)の骨折には安静を主とした保存療法が第一選択されます。しかし,骨折の治癒には長期間の臥床を要し,この間の身体的精神的負担は健常者の想像をはるかにしのぎます。さらに不幸なことに保存療法にもかかわらず骨癒合しない,いわゆる偽関節化する症例が少なからずあります。このような場合には脊椎固定術などの手術療法が選択されていますが,非常に侵襲が大きく,さらなる患者負担をかけることになります。当科では内視鏡下に偽関節化した骨折部位を新鮮化し,人工骨で置き換える低侵襲手技の開発に取り組んできました。患者さんの精神的負担を軽減するため,全身麻酔下に行っていますが局所麻酔(腰椎麻酔)でも可能な手技です。手術時間は1時間程度,出血量も少量に抑えることが可能になりました。